HEMS(ヘムス)とは Home Energy Management System の略で、日本語では「家庭用エネルギー管理システム」と呼ばれます。家庭内の電気・ガス・水道などの使用状況を**「見える化」し、さらに自動制御や遠隔操作**によって省エネや快適性を高める仕組みです。
基本の仕組み
- 計測:分電盤やスマートメーターに接続した計測ユニットで、家全体や機器ごとの消費エネルギーを測定
- ネットワーク接続:ECHONET Liteなどの規格を使い、家電や設備をネットワーク化
- 管理・制御:タブレットやPC、スマホから稼働状況を確認し、遠隔操作や自動制御が可能
主なメリット
機能 | 効果 |
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エネルギーの見える化 | 無駄な消費を発見しやすくなり、節電意識が高まる |
自動制御 | 電気代の安い時間帯に家電を稼働させるなど、効率的な運用が可能 |
快適性向上 | 外出先からエアコンをON、帰宅時に快適な室温に設定できる |
複合管理 | 太陽光発電・蓄電池・EV充電器などと連携し、エネルギーを一元管理 |
導入時の注意点
- 対応家電はECHONET Lite対応製品が必要(既存家電は非対応の場合あり)
- 導入コストと節約額のバランスを事前に検討
- 新築時の導入が配線面で有利だが、既築住宅にも後付け可能
豆知識
政府は2030年までに全ての住まいにHEMSを設置することを目標にしています。
ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)との組み合わせで、消費エネルギーを実質ゼロに近づけることも可能です。
稔幸さん、最新の情報を整理すると、HEMS導入の一般的な相場は約10万〜30万円です。
ただし、構成や住宅の状況によって幅があります。
費用の内訳(目安)
項目 | 相場 |
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HEMS本体(コントローラー等) | 5〜15万円 |
スマート分電盤 | 5〜10万円 |
工事費(配線・設置) | 5〜10万円 |
合計 | 10〜30万円程度 |
太陽光発電や蓄電池と連携する場合は、対応機器や設定費が加わり、30〜50万円超になるケースもあります。
光熱費削減効果(試算例)
- 年間 3〜6万円 の節約が期待できる
- 5年で 15〜30万円 の削減 → 導入費用を回収できる可能性大
補助金活用でさらにお得
- ZEH補助金:最大55万円(太陽光・蓄電池とセットで適用)
- GX志向型住宅支援事業:最大160万円(ZEH水準以上の新築で必須条件にHEMS)
- 自治体独自の補助金:1〜10万円(地域による)
補助金を組み合わせれば、実質負担が10万円以下になることもあります。
まとめ
これまでの暮らしでは、電気やガスの使い方は「請求書が届いて初めて全体像がわかる」という、いわば過去を振り返る管理が主流でした。数字は分かっても、その瞬間にどこでどれだけ使っているかは見えず、節約や効率化のタイミングも限られていたはずです。
HEMSを導入すると、日々のエネルギーが**リアルタイムに“見える化”**され、消費パターンを即座に把握できるようになります。
さらに、AIによる最適制御や、太陽光発電・蓄電池との連携によって、
- 高いデザイン性のダッシュボードで直感的に使いこなせる
- 無駄のない電力利用で光熱費とCO₂排出を同時に削減できる
- 将来のエネルギー価格変動や制度変更にも柔軟に対応できる
という、“攻め”のエネルギーマネジメントへ進化します。
つまり、今までは「結果を受け取るだけ」の受動的な管理、
これからは「自ら選び、最適化を続ける」能動的な暮らしへ。
HEMSは単なる設備ではなく、
日常の意思決定と快適性をアップデートする、新しい住まいのパートナーと言えるでしょう。